左目颯太郎のhoukokusyo

定住するMMOが決まるまでは適当に書く報告書

シン・仮面ライダー(一部公式以上のネタバレを含みます)

2年ぶりの更新だが皆様いかがお過ごしでしょうか?

ドーモ、オメソデス

この2年、ゲームは幻塔やPSO2なんかをやっていたがココ最近めっきりサボり気味。その内気が向いたら書くかもしれないが、ずっと真夜中でいいのに。やオーイシマサヨシ等のアーティストの応援活動が忙しかったりお金も時間もかかったりで中々ガッツリやるゲームは難しいのが現状である。

さて、今回はゲームの事ではなく、あらゆる意味で話題騒然のシン・仮面ライダーについて書こうと思う。過去にも書いたが俺は仮面ライダーオタクである。二号超好き。更に庵野作品(初代エヴァやナディア)で育った世代である。

そんな人間がシン・仮面ライダーを見ないと言う選択肢なぞある訳はなく…既に3回見ている。ここまで短期間で何度も見た映画と言うのも初めてなので、記念に(?)記事を書いておこうと思ったのだ。

とは言え所詮シロウトなので思った事を箇条書きにして書いていくくらいしか書けないが、まぁ暇潰し程度にでも見て欲しい。

良かった点

1.ストーリー構成と仮面ライダーの悩み

漫画版と特撮版を上手くミックスし、そこに庵野監督独自の要素を邪魔にならない程度に入れこんである。

見る前は番宣の3種類のポスター全てに浜辺美波氏演じる緑川ルリ子が出ているのは何故なのだろうか?と思ったが、見てみて納得。主人公は本郷猛ではなく、緑川ルリ子だと言っても過言では無いだろう。ネタバレし過ぎるのは控えたいので多くは語らないが、個人的には「なんでだよ!」とはならず「良いんじゃない?」と言える、オリジナル要素としては有りな内容だったと思う。物語の大筋に緑川ルリ子が常におり、その信頼を受けた男と継承された男が緑川ルリ子の想いを支え、叶える。そんな物語。

その分割を食ったのは池松氏演じる本郷猛だが、今作ではオリジナルに色濃くあった異形故の悩みや同族である改造人間を殺め続ける事への辛さよりも、本郷猛の人としての優しさと辛い過去からくる強い意志を表に打ち出すことによって、突然巻き込まれ悩み苦しみながらもしっかりと自分の意思で戦うと言う「クヨクヨし過ぎない碇シンジ」的な立ち位置を得ている。

かと言って悩みについても全く描写が無い訳ではなく、クモオーグ戦前は異形の自分に対して震えながら怯えるシーンもあり(ほぼ原典に近い恐れ方でとても良い)、コウモリオーグ戦前においては「優しすぎて戦闘では期待できない」とまで言われる程に暴力を振るうことに悩み、苦しんでいる。その後のハチオーグ戦ではマスクのもたらす衝動に抗ってまでトドメを刺さない、問答無用の量産型バッタオーグ戦においても「戦うしかないのか…」とこぼし渋々戦う等決して積極的には戦わないスタンスを終始崩さなかった。

こういった悩み描写に関しては長すぎると話がてんで進まなくなってしまうので個人的には非常にいい塩梅だったと思う。

2.BGM

シン・ゴジラはめちゃくちゃ良かったがシン・ウルトラマンはあまり記憶に残らなかったのでさほど期待はしていなかったが、劇中のBGMが抜群に良い。

旧特撮版のBGMをそのまま使ったりしている場面も有るが、岩崎琢氏の新規楽曲やレッツゴーライダーキックのアレンジも超逸品。しかもそれらが「わかってる」場所でかかるので、これ関しては正に脱帽。さすがは庵野監督と言わざるを得なかった。

3.各種デザイン

こちらに関してもさすがは庵野監督と唸ってしった。

仮面ライダーサイクロン号、各オーグメント、果てはショッカーエンブレムまで元のデザインを適度に踏襲しつつも現代風にリメイクされている。

特に主役の仮面ライダーのデザインは最早完璧。一号ライダーの後ろ髪や防護服中心のチャックの再現にはこだわりを感じるし、ほぼ原典そのままながらもいや防護服も立派な機械なんでと言わんばかりにビス止めされた胸部コンバーターラング、プラーナの排出機構の付いたタイフーン、装着すると飛び出るし喋る時にモゴモゴ動くクラッシャー等もうオタク心を鷲掴みにするデザインのオンパレードである。デザイナーの出渕氏達が天才すぎる。いやもうホントに…。

4.アクション

先に言っておくがこれに関しては良い点悪い点両方ある。と言うかシン・仮面ライダーの賛否両論の6〜7割近くがアクションの話題ではないだろうか?

良い点としてはまず最序盤の下級構成員戦。立ち塞がる複数の下級構成員に対して仮面ライダーが凄い勢いで立ち向かっていく様は、凝ったカメラアングルの効果もあったりでまるで「狩り」の様な迫力あるアクションが見れる。

続くクモオーグ戦も原典である特撮版の蜘蛛男戦を忠実に再現しつつも今風に良アレンジしている。セリフ付きの演技が有るからかやや殺気は薄れるものの、池松氏の素晴らしいアクションも見れて正直大満足である。と言うかアクションに関して間違いなくここが頂点。

他には個人の主観も有ると思うが、ジャンプの描写が非常に良かった。恐らく昔ながらのトランポリンを使った撮影方法だと思うのだが、仮面ライダーの高いジャンプ力を上手く表現出来ていると思った。このやり方だとどうしてもライダーキックはCGになるが、仮面ライダー驚異的な身体能力を活かす描写になっていたので個人的には〇。正直ワイヤーアクションによるキックはスピード感を損ねる為あまり好きでは無い。

5.オマージュ

これに関しても良い点悪い点両方ある。良い点としてはオタクでさえお腹いっぱいになるほどのオマージュを散りばめてくれていること。シン・仮面ライダーと言う作品ではあるが、シン・石ノ森ワールドとも言える程のオマージュがあちらこちらに隠されている。

特に緑川イチローとケイはオマージュの塊とも言うべき存在であり、見る人が見ればニヤニヤしてしまうこと間違いなし。

6.SHOCKERの改変

原典では悪の秘密結社そのものであったショッカーは、今作ではAIによって管理される人類に幸福をもたらす為の組織SHOCKERとして改変されている。

いやショッカー良い奴なん!?と言うとそういうわけでもなく、不幸のドン底にいる人間を幸福にする事が人類の幸福(底辺を引き上げる)=その為には他人は一切顧みないと言う超極端な理論に基づいての行動になっている(その上救済対象を勝手に改造する)。

これは正義の反対は悪ではなく別の正義だったり、マイノリティーに対する問題等の現代の価値観に沿ったものでありとても良いアレンジだと思う。

俺達が生きる現実世界においてもかつては秘密結社であった組織がオープンに活動する時代に、悪の秘密結社とか言われてもリアリティが全く無いのでこれには大賛成。

7.一文字隼人と緑川イチロー

一文字隼人は間違いなく今作最強の癒しキャラである。浜辺美波氏よりヒロインしている最高のヒーロー兼ヒロインである。見ているだけで心スッキリだ!

原典の明るさと芯の強さを持ち合わせたキャラクター性はもちろん、演じる柄本氏の演技も最高で、今まで一号ライダーの陰に隠れがちだったが、仮面ライダーシリーズ最高の立役者と言っても過言では無い一文字隼人と言うキャラクターの魅力を存分に引き出してくれた。庵野監督ホントにありがとう。何を隠そう俺は一時期添付資料の様な壁紙をホームに設定していたくらい二号推しである。庵野監督ホントにありがとう。大事な事だから2回言いました。

話が逸れるが当然ライスピも集めているのでこのシーンは大好きである。

緑川イチローも非常に良かった。本作の涙腺崩壊発生装置である。

何よりも演じる森山氏が素晴らし過ぎる。何を隠そう俺はセカチューからのファンである。モテ期も見たぞ。因みに俺はよく似てると言われるので親近感が凄い。一時期「私、森山未來の双子の弟なんです」と勝手にネタにしていたのはナイショだ。

話を戻すと序盤から何となく存在が明かされるのだが終盤に差し掛かる頃にようやく登場、話す際にマトモに視線を合わせることもしないとにかく不気味なキャラである。だが実は作中の誰よりも家族思いで人間らしいキャラクターであった。

当初はアルティメットオーグメントチョウオーグとしてダブルライダーをも圧倒するが、最後はダブルライダーの持久戦とチームワークの前に敗北、マスクに残ったルリ子の想いの裏を汲み取りルリ子と本郷を生かすために潔く散っていく。最高の敵キャラである。

この2人に関しては文句の付けようもなく、庵野監督ありがとうとしか言いようがない。

悪かった点

1.アクション

俺は見れていないのだが庵野監督はNHKのドキュメント内で「殺気が足りない」的な事を言っていたようだ。

どうやら昔の泥臭い取っ組み合い描写が良かったとかなんとか…。確かに最近の特撮の洗練されたアクションはまるで美しい踊りの様で、まぁ殺気は皆無である。仮面ライダーに限らずヒーローになる人間は大体運動神経抜群と言う設定は有っても格闘技や武術に長けていると言う設定は意外と多くは無いので、そういう意味ではあの泥仕合にも確かに納得はいく。

ただ、俺は全くのシロウトだしただの憶測にはなるんだが、撮影方法や殺陣の技術等様々な物が正当進化しての現代アクションなのでは無いだろうか?何より序盤で魅せられたクモオーグ戦以上のアクションをその後も期待してしまうのが、観客の正しい感情なのでは無いだろうか?庵野監督が理想を求めるあまり満足出来ずに、肉体を捨ててCGアニメーションに走っていってしまったと言う事実が残念でならない。

高みを求める姿勢は素晴らしいし本当に有難いのだが、その結果があれでは何がしたかったのか全く分からないとしか言いようがない。重ねて言うが本当に残念である。

因みにこの感想は殺気云々以外は初回見て思った感想ほぼそのままなのでNHKのドキュメントはほぼ関係無い。個人的には仮面ライダー the firstより上の生身アクションが見れると思っていた。仮面ライダーと言う徒手格闘で戦う等身大ヒーローの映画なので半分は生身のアクション目当てで見に行っているのだ。それがほぼ無いのならばそりゃ落胆もするだろう。

2.オマージュ

これに関しては今に始まったことじゃない(シンウルトラマンでも言われてた)し賛否両論あるのだが、原典を見ていない人間を置いてきぼりにするオマージュがとても多いのだ。まぁ別に分からないと楽しめないと言うようなオマージュは少ないので「やれやれまたか…」程度ではあるのだが。

ただ緑川イチローは詰め込みすぎて大渋滞してるぞ庵野監督…。俺は好きだけども…。

3.本郷猛

良い点でも書いたのだが本郷猛のキャラクター性は決して悪くない。原典からかけ離れすぎているのが多少引っかかるがそういうものだと思えば飲み込める範囲ではある。ただどうしても気になる点がひとつ。池松氏がずっと震えているのだ。これが何を意味するのか3回見ても全く分からない。

最初はコミュ障だから?とも思ったがその割にはしっかり喋っているしコミュ障と言うよりは自分を出すのが少し苦手程度な印象。

例のドキュメントで池松氏やアクション班が相当悲惨な目にあったにあった所が放送されたみたいだが、もしそのせいだとしたら…と考えると見ている側まで苦しくなってきてしまう。

とりあえず自分の中ではめちゃくちゃ寒かったんだと思い込むようにしている。

他に誰も震えている演者さんはいないが。

総評

俺はシン特撮シリーズは全て複数回見ている。因みに好きな順は原典としては

1.仮面ライダー

2.ウルトラマン

3.ゴジラ

であるが…。

シンシリーズとして見た場合、

1.シン・ゴジラ

2.シン・ウルトラマン

3.シン・仮面ライダー

残念ながらこの順番になってしまう。申し訳ないがシン・仮面ライダーは手放しにはオススメはしづらい。シンシリーズ全般に言えるかもしれないが、刺さる人には刺さるが刺さらない人には原典ファンにすら徹底的に刺さらないと言うアクの強さが過去一なのは間違いないからだ。

しかし、シン・仮面ライダーにはまだまだ可能性を感じるのも事実。

何よりシンシリーズで唯一明らかに続編を匂わせる終わり方をしているので(細部は異なるが漫画版の本郷編と同じ終わり方なのでこれから一文字編が始まっても決しておかしくない)、色々と負けずに続編を作ってくれることを切に願っている。

 

と、まあ色々書いたが原典を大きな改変をせずに現代風にリメイクしてくれた庵野監督にはぜひ感謝を述べたい。それだけでもこの作品に意味があると言える程の快挙であると思っている。

最後になるが俺はシン・仮面ライダーが大好きである。既に三回見たと書いたがまだ何度か見に行くつもりだ。

心の底からシン・仮面ライダーを応援したいのだ。

だから俺はいつまでも待っている。

シン・仮面ライダー<一文字隼人編>制作決定の一報を。

 


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仮面ライダー一号、二号を語る上で絶対外せないと思う神曲。エンディングで流れてきたときグッと来てしまった。

 

今では考えられないと思うが昔の仮面ライダーは基本的に一人なのだ。

仲間は居るが改造人間は自分だけ、本当の苦しみは誰にも理解されることはない。

それでも、一人でも斗う。それが仮面ライダーの美学。

恐らく庵野監督もそう思って作った映画なのだと思う。